2026年5月16日
採用がうまい社長は「この順番」で動いている
「何から手をつければいいかわからない」——採用の相談を受けるとき、こう言う経営者は少なくありません。
求人を出しても来ない、面接しても決まらない、採れたと思ったらすぐ辞める。こうした悩みは、それぞれ別の問題に見えて、実は「順番の問題」であることがほとんどです。
採用がうまくいっている経営者は、5つのステップを正しい順番で踏んでいます。この記事では、その全体像を整理します。
採用の5ステップ
採用活動は、大きく分けると次の5つの段階で構成されます。
1. 準備——誰を採るかを決める
2. 発信——求める人に届ける
3. 選考——合う人かどうかを見極める
4. オファー——逃さず・急かさず決める
5. 定着——入社後に辞めさせない
この順番を飛ばしたり、逆に進めたりすると、どこかで詰まります。たとえば「発信」を頑張っても「準備」ができていなければ、合わない人ばかり集まります。「選考」を洗練させても「発信」が弱ければ、そもそも人が来ません。
順番通りに進めることが、採用を再現性のある活動に変える最も確実なアプローチです。
ステップ1:準備——誰を採るかを決める
最初にやるべきは求人票の作成でも、媒体の選定でもありません。「どんな人に来てほしいか」を言語化することです。
- 仕事内容の具体的なイメージ(1日の流れ、繁忙期、チームの人数)
- 求める人物像(スキルより、性格・働き方の相性)
- うちの会社に合わない人のイメージ
これが決まっていないと、何を発信すればいいか、面接で何を確認すればいいかが定まりません。採用のセルフ診断として、自社の採用準備がどこまで整っているか確認したい方はこちらの記事が参考になります。
ステップ2:発信——求める人に届ける
準備ができたら、次は「届ける」フェーズです。ここでのよくある失敗が、「媒体を増やせば解決する」という思い込みです。
媒体の数より、発信の質が先です。同じ求人を複数の媒体に掲載しても、求人票の内容が弱ければ結果は変わりません。
発信には2つの軸があります。
求人票の質:条件の羅列ではなく、仕事の実態・職場の雰囲気・入社後のイメージが伝わる内容にすること。詳しくはこちら。
会社の見え方:ホームページや採用ページ、SNSなど、検索した求職者が「どんな会社か」を確認できる情報を整えること。特に地域での知名度がある会社は「知ってる」と「行きたい」の差が生まれやすい点に注意が必要です(詳細はこちら)。
また、若い求職者を採用したい場合は、給与や待遇だけでなく「職場の雰囲気・人間関係の透明性」を重視していることを理解しておく必要があります(20代が会社を選ぶ基準)。
掲載媒体の活用:ハローワークは費用ゼロで掲載できますが、「登録して放置」になっていないか確認が必要です。更新頻度や担当者との関係性が求職者への露出に影響します。求人票の作成サポートなど使えていない機能も多い(ハローワークを使い倒す方法)。
ステップ3:選考——合う人かどうかを見極める
応募が来たら、次は「選考」です。ここでよく起きる問題が「面接のたびに聞くことが変わる」「感覚で決めてしまって後で後悔する」というパターンです。
選考を安定させるには、判断基準を事前に言語化しておくことが必要です。
- 面接で必ず確認する質問を目安として10問程度固定する
- 合否判断のポイントを「スキル・意欲・相性」など項目ごとに整理しておく
- 一人の判断だけでなく、複数人の視点で評価する
選考の一環として、面接でどんな質問をすべきかについては別記事で詳しく解説しています。
ステップ4:オファー——逃さず・急かさず決める
「いい人だと思ったのに、他社に決まってしまった」——これはオファーのタイミングと伝え方の問題です。
求職者は複数社を並行して検討しています。「いい」と思ったら、できるだけ早く意思を伝えることが重要です。一方で「早く決めてください」と急かすことは逆効果です。
オファーのポイントは2つです。
スピード:選考結果の連絡は、候補者が複数社を並行検討していることを考えると、1週間以内を目安にするのが望ましいです。2週間以上かかると、他社に気持ちが動いている可能性があります。
誠実さ:「あなたに来てほしい理由」を具体的に伝えること。「給与はこれで」ではなく「こういう仕事を任せたいと思っている」というメッセージが、意欲ある人材を引き留めます。
ステップ5:定着——入社後に辞めさせない
採用の最後のステップは「採れた後」です。
採用コストは、1人あたり50〜120万円以上かかることも珍しくありません(採用ミスのコスト試算はこちら)。せっかく採れた人材がすぐ辞めてしまえば、そのコストがまるごと無駄になります。
入社後の定着を高めるために、採用がうまくいっている会社がやっていることは3つです。
- 入社前のすり合わせ:仕事の内容・評価の仕方・職場のルールを入社前に丁寧に説明する
- 最初の3ヶ月のサポート体制:誰に何を聞けばいいかを明確にしておく
- 定期的な1対1の面談(1on1):入社後1ヶ月・3ヶ月のタイミングで「困っていることはないか」を確認する
仕組み化の詳細はこちらの記事も参照してください。
採用は「全体設計」が必要
5つのステップをざっと整理しましたが、実際の採用活動では「どのステップで詰まっているか」が会社によって異なります。
- 応募が来ないなら、ステップ2(発信)の問題
- 採れても辞めるなら、ステップ5(定着)の問題
- 面接まで来ても決まらないなら、ステップ3〜4の問題
まずどこで詰まっているかを特定することが、最短の改善ルートです。
「自分ではどこが問題かわからない」という方は、まず自社のどのステップに課題があるかを一緒に整理しましょう。
→ 関連記事: 採用のセルフ診断チェックリスト / 求人を出しても来ない会社とすぐ埋まる会社の違い / AIに求人票を書かせてみた実例 / ハローワークを使い倒す方法 / 「人事専任者がいない」のに採用を回している会社がやっていること