2026年5月15日

「条件より雰囲気」——若い世代が会社を選ぶ本当の理由

「若い人が来ない。給料が低いからだろう」——そう結論づけている経営者は少なくありません。

でも実際に20代の求職者と話すと、意外なことを言われます。「給料は普通でいい。ちゃんと続けられる会社かどうかが知りたかった」と。

若い世代が会社を選ぶ基準は、50代の経営者が想像するものと少しずれています。そのずれを放置したまま求人を出し続けると、「来ない」ままになります。

この記事では「価値観の違い」より一歩踏み込んで、今の20代が応募前にどんな行動をとるか——つまり行動面に焦点を当てて解説します。

求人票を見た後に何をするか

今の20代求職者が求人票を見た後、まず会社名をネットで検索することが多いです。

ハローワークや求人サイトで気になる求人を見つけたとき、そのまま応募ボタンを押す人は多くありません。スマートフォンで会社名を検索して、ホームページを見る。InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを調べる。口コミサイトを確認する。

この「下調べ」で何を見ているかというと、給与や福利厚生の詳細ではありません。

  • 社員の顔が見えるか
  • 職場の雰囲気が伝わるか
  • 社長や上司がどんな人そうか
  • 「普通に働けそうかどうか」

特にSNSが更新されていない、ホームページが古い、社員の様子が一切見えない——こういう会社は「なんとなく怪しい」と感じさせます。信頼できる情報がなければ、応募のリスクを感じて次の候補へ移ります。

これは若い世代の「情報に敏感」という特性からきています。インターネットで調べることが当たり前の環境で育っているため、調べてわからない会社は「不透明」と感じやすい傾向があります。

若い世代が会社を選ぶとき見ていること

求職者から実際に聞かれることを整理すると、以下の3点に集約されます。

人間関係・雰囲気

「怒鳴られないか」「上司がどんな人か」「同僚と普通に話せる環境か」。

これは「ゆるい職場が好き」というわけではありません。理不尽な扱いを受けずに、普通に仕事ができる環境かどうかを確認したい、ということです。

前の職場や知人からの話で「職場の人間関係でしんどくなった」という経験を持つ人が多く、次の職場ではそれを避けたいと思っています。

働き方の透明性

「残業が実際どのくらいあるか」「休日は取れるか」「突然シフトを変えられないか」。

求人票に「残業なし」と書いてあっても、実際に見てみると残業が多かった——というケースが広まっているため、書いてある内容を額面通りに信じない傾向があります。

「実際のところどうなのか」が伝わる情報を求めています。社員の声、具体的な一日の流れ、入社後の変化——こうした情報があると「本当のことを書いている会社だ」という安心感を持ちます。

長く続けられるか

「この会社で3年後・5年後に自分はどうなっているか」が見えないと、踏み出しにくくなります。

キャリアアップへの野心というより、「突然つぶれないか」「理不尽に辞めさせられないか」という安定への不安が背景にあります。小規模な会社は特に「安定しているか」を不安視されやすいため、「長く働いている社員がいる」「定着率が高い」という情報は、若い求職者に響きます。

50代経営者が気づきにくい「伝わっていないこと」

「うちの会社はそんなにひどくない。普通に働ける職場だ」——そう思っている経営者は多いです。でもそれが求職者に伝わっていなければ、知らないまま通り過ぎていきます。

若い世代にとって「情報がない=隠している何かがある」と映ることがあります。ブラックな職場ほど外向けの情報を出さない傾向があると、なんとなく知っているからです。

つまり「うちは普通の会社だ」という事実は、黙っていても伝わりません。普通であることを、意図的に見せる必要があります。

今日からできること

大規模な採用のPR・自社の見せ方を整える取り組みは必要ありません。小さなことから始められます。

社員の日常を一つ見せる

スタッフの仕事風景の写真、休憩時間の様子、季節の行事——こうした「会社の中が見える」情報をホームページやSNSに一つ追加するだけで、印象は変わります。写真一枚でも、「ここには人がいる」という安心感を与えます。

求人票に「社員の声」を一言加える

「入社3年の社員:残業は月に5時間程度。子どもの行事には有給を取りやすい環境です」——こういう一文があるだけで、求人票の信頼感が上がります。

長く続けている社員がいることを伝える

「10年以上勤務のスタッフが3名います」という一行も、若い求職者の安心につながります。定着している人がいる=居心地が悪くない、という判断材料になります。

まとめ

  • 今の20代求職者は求人票を見た後、多くの場合ネットで下調べをしている
  • 「なんとなく大丈夫そうか」を確認するために、雰囲気・透明性・安定性を見ている
  • 「普通の会社だ」という事実は、意図的に見せないと伝わらない
  • 社員の顔・日常の風景・定着実績を小さく出すだけで、印象は変わる

給与を上げる前に、「今の会社がどんな職場か」が伝わる情報を一つ増やすことから始めてみてください。


若い世代に届く求人の見せ方について、個別に相談を受けています。気になった方はお気軽にご相談ください。

→ 関連記事: 求人を出しても来ない会社とすぐ埋まる会社の違い / 給与以外で選ばれた会社の話

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