2026年5月16日

「急募」が口癖になっている会社——採用を「計画」できていない本当の理由

「また急募になってしまった」——この言葉が社内で繰り返されているとしたら、それは採用の「構造的な問題」です。

誰かが辞める。慌てて求人を出す。時間がないので求人票は雑になる。「とにかく誰か来てほしい」状態で選考するので、本来なら見送るべき候補者を採ってしまう。その人が短期間で辞める。また急募になる——。

このような悪循環に陥りやすい会社の共通点は、「採用を計画していないこと」です。

後手採用が採用失敗を招く理由

欠員が出てから求人を出す「後手採用」には、構造的な弱点があります。

準備ゼロで求人票を書くことになる

落ち着いた状態で書いた求人票と、「明日にでも出さないといけない」という状態で書いた求人票では、質が変わります。急いでいると「どんな人に来てほしいか」を考える時間がなく、条件の羅列で終わってしまいます。結果として応募が集まりにくくなります。

選考基準が下がる

「誰でもいいから早く来てほしい」という状態になると、面接での判断が甘くなります。「少し合わないかもしれないけど、今は人が必要だから」という妥協が、入社後のミスマッチに直結します。

採用に失敗したときの損失は、想像以上に大きいです。採用コストに加え、教育コスト・業務引継ぎの手間・再採用コストを合計すると、1人の採用失敗で50〜120万円以上の損失になることも少なくありません(採用ミスのコストについて詳しくはこちら)。

「急いで採った」人材は定着しにくい

急いで採用した場合、入社後のフォロー体制も手薄になりがちです。「とにかく来てもらった」という状態で始まると、入社直後に「思ってたのと違う」という離脱が起きやすくなります。

先手採用という考え方

後手採用から抜け出すための考え方が「先手採用」です。

先手採用とは、欠員が出てから動くのではなく、「いつ・どんな人材が必要になるか」をあらかじめ予測して、早めに準備を始めることです。

採用活動を「欠員が出たら対応するもの」から「会社の経営計画の一部」として位置づけることが、先手採用への第一歩です。

事業の先の見通しを立てるように、「来年は〇〇の仕事が増える。その場合、今の体制で回るか」を定期的に確認する習慣が必要です。

「先手採用」を始める3つのステップ

大がかりな仕組みは必要ありません。今日から始められる3つのことがあります。

① 年に1回、翌年の人員計画を紙に書く

「今の事業計画で考えると、来年末には何人体制が理想か」を書き出します。完璧な計画でなくてかまいません。「今3人でやっているが、来年は売上が増える予定なので4人必要かもしれない」という程度の見通しで十分です。

これがあるだけで、「今から動き始めれば間に合うか」という判断ができるようになります。急募にならない採用サイクルが見えてきます。

② 退職リスクの高い社員を把握しておく

突然の退職は、後手採用の最大の原因です。「あの人が辞めたら困る」という社員が誰かを把握し、その人のコンディションを定期的に確認しておくことが重要です。

月1回の短い会話でも、本人の様子を確認する習慣を持つだけで退職の兆候に早く気づけます。気づければ、採用活動を早く始められます。採用のプロセス全体を把握している経営者ほど、「いつ動き始めればいいか」の判断が早くなります(採用の5ステップについてはこちら)。

③ 「求人票の型」だけ常時準備しておく

求人票を毎回ゼロから書くのは時間がかかります。一度、自社の求人票のテンプレート(仕事内容・1日の流れ・求める人物像の枠だけ作ったもの)を作っておけば、いざというときの初動が格段に速くなります。

急募になったとしても、テンプレートがあれば「数字や時期だけ更新すれば出せる」状態になります。

「計画がない」と気づいたらどうするか

もし今の自社に採用計画がないと感じたなら、まず自社の採用の現状を整理することから始めてください。

  • どのステップで採用が止まりやすいか
  • 急募になる原因が毎回同じかどうか
  • 求人票・選考基準・フォロー体制がどこまで整っているか

採用がうまくいかない原因は会社によって違います。まずは自社の現状を診断してみることをおすすめします(採用のセルフ診断はこちら)。

まとめ

  • 「急募」が繰り返されるのは、欠員後に動く「後手採用」の構造が原因
  • 後手採用は求人票の質・選考基準・定着率のすべてを下げる
  • 先手採用は「いつ・何人必要か」を先読みして早めに準備すること
  • 年1回の人員計画・退職リスクの把握・求人票テンプレートの整備が出発点

採用を「計画できるもの」に変えるためのヒントになれば幸いです。


気になった方はお気軽にご相談ください。採用の現状を整理するところからお手伝いします。

→ 関連記事: 採用がうまい社長は「この順番」で動いている / 採用のセルフ診断チェックリスト / 「人事専任者がいない」のに採用を回している会社がやっていること

上部へスクロール