2026年5月18日
「面接が会社説明会になっていませんか?」——採用側が話しすぎる面接の問題
面接が終わった後、「あの人のことをよくわからないまま決めてしまった」と感じたことはないでしょうか。
その面接、会社側がほとんどの時間話し続けていた、ということはありませんでしたか。
採用面接に慣れていない経営者に多いのが、「面接のつもりが会社説明会になっていた」というパターンです。候補者を見極めるはずの時間が、自社の紹介で終わってしまう。結果として、採否の判断材料が面接前とほとんど変わらない、という状況に陥りやすくなります。
なぜ面接が説明会になるのか
面接を担当する経営者が一方的に話してしまう理由は、主に2つ考えられます。
① 候補者に「来てほしい」という気持ちが先立つ
求人を出してもなかなか応募が来ない状況では、ようやく来てくれた候補者に対して「ぜひ入社してほしい」という気持ちが強くなります。その結果、「うちはこんないい会社ですよ」という説明に時間を使いすぎてしまいます。
② 何を聞けばいいか迷って、話す方が楽になる
面接で何を確認すべきかが整理できていないと、沈黙や会話の途切れを避けるために自分から話し続けてしまいがちです。「聞く」より「話す」方が気楽なため、自然と比率が逆転します。
話しすぎる面接で起きる3つの問題
① 候補者を見極められない
面接の目的は「この人と一緒に働けるか」を判断することです。採用側が話している時間は、その判断材料がほぼ得られません。1時間の面接のうち大半の時間を採用側が話していたなら、候補者の情報はわずかしか得られていません。
② 候補者が「合わせて答える」ようになる
採用側が先に「うちはこういう会社です」と詳しく説明してしまうと、候補者は「それに合わせた答えを返せばいい」と学習しやすくなります。本音ではなく、採用側が聞きたいことを察して答える面接になりやすくなります。
③ 候補者も会社を判断できない
面接はお互いが確認する場でもあります。候補者が「自分に向いているか」「本当にここで働きたいか」を考えるには、自分が話す時間が必要です。採用側が話し続けると、候補者は判断材料を得られないまま面接が終わりやすくなります。
「聞く:話す=7:3」を意識する
採用・面接の実務でよく言われる目安として、「採用側が話す時間は全体の3割程度」というものがあります。残り7割は候補者に話してもらう時間です。
会社の説明や条件面の確認は、面接の冒頭か終盤に10〜15分程度で済ませる。あとは質問して、聞く。この流れに変えるだけで、面接から得られる情報量は変わりやすくなります。
会社説明を別途「会社説明シート」として資料化しておくと、口頭で長々と説明する必要がなくなります。面接前に候補者に渡しておけば、面接本来の「見極め」に時間を使いやすくなります。
候補者の本音を引き出す5つの質問
採用側が話す量を減らすには、「聞き続けられる質問」を用意しておくことが有効です。以下の5つは、一問一答で終わらず会話が続きやすい質問です。
① 「今の会社(または前の会社)で、一番大変だったことは何ですか?」
スキルや経験の話ではなく、その人の「しんどさの基準」や「問題への向き合い方」が見えてきます。「なぜそれが大変でしたか」と続けることで、さらに深い話が引き出しやすくなります。
② 「これまでの仕事で、自分なりに工夫したことはありますか?」
言われたことをこなすだけか、自分から考えて動く人かを確認しやすくなります。小さな会社では、指示待ちより自分で考えて動ける人の方が活躍しやすいことが多いです。
③ 「仕事上で、人間関係で困ったことはありましたか?」
職場の人間関係にどう対処するかは、定着率に影響しやすい要素です。答え方から、問題を抱え込みやすいか、相談できるかどうかの傾向がわかりやすくなります。
④ 「当社に入社したら、まず何をやってみたいと思っていますか?」
応募前にどれだけ会社のことを調べているか、また仕事に対して前向きに考えているかが見えやすくなります。具体性がない答えが出てきた場合は、「なぜですか」と理由を聞いてみてください。
⑤ 「逆に、当社で気になっていることや不安なことはありますか?」
本音の懸念を引き出す質問です。「特にありません」で終わることもありますが、素直に答えてくれる候補者はむしろ信頼できる傾向があります。不安を共有してくれた場合は、丁寧に答えることで候補者の安心感につながりやすくなります。
面接で「何を聞くか」の質問設計については、採用面接で何を聞けばいいかわからない——小さな会社の面接設計入門で詳しく解説しています。
まとめ
- 採用側が話しすぎる面接は、候補者を見極められないまま終わりやすい
- 「聞く:話す=7:3」を意識するだけで、面接から得られる情報量は変わりやすくなる
- 会社説明は資料化して事前に渡し、面接本来の「見極め」に時間を使う
- 「なぜですか」と深掘りできる質問を5つ用意しておくと、会話が途切れにくくなる
面接のやり方を変えるのは、特別な準備がなくてもできます。次の面接から「聞く側に回る」ことを意識してみてください。
「採用面接の進め方を一緒に整理したい」という方は、お気軽にご相談ください。
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