2026年9月22日
一次面接は現場社員、最終は社長だけでいいのか。面接ラウンドごとの同席者設計
一次面接は現場の社員、最終面接は社長。この形で回している会社もあります。ただ、その形が「なぜそうなっているのか」を説明できるでしょうか。
同席者を決める前に決めるべきなのは、人数でも肩書きでもありません。各ラウンドで何を見るのかです。ここが曖昧なまま人だけ配置すると、一次でも最終でも同じ質問を繰り返し、同席者は黙って座っているだけになることがあります。この記事では、ラウンドごとに誰を同席させ、何を見てもらい、何を任せないのかを整理します。
同席者は「誰を呼ぶか」より「何を見てもらうか」で決める
面接を複数回に分ける意味は、回ごとに確認したいことが違うからです。目的が同じままでは、回を分ける意味が薄れます。
同席者を決める順番は次のとおりです。
- 各ラウンドで確認したいことを決める
- それを確認するのに適した立場の人を選ぶ
- 同席者に、見てほしいことと任せないことを伝える
実際には、2から始めてしまう会社もあります。「とりあえず現場のAさんと社長」と人を先に決めるパターンです。これでは、Aさんが何を期待されているのか本人も分からないまま、面接後に「どうでした?」と聞かれて「いい人そうでした」としか答えられないこともあります。
ラウンド別の設計例
以下は考え方の一例です。会社の規模や職種によって、正解は変わります。
| ラウンド | 主に確認すること | 向いている同席者 |
|---|---|---|
| 一次 | 仕事内容の理解、一緒に働くイメージ、基本的な適性 | 配属先の現場社員 |
| 二次 | 配属後の育成・チーム運営のしやすさ、働き方や条件のすり合わせ | 配属先の責任者・管理者 |
| 最終 | 会社の方向性との考え方の一致、入社意思、条件の合意 | 経営者 |
ここで大事なのは、ラウンドごとに「見る観点」が違うことです。
- 現場社員は「この人と一緒に働けそうか」「業務の話が通じるか」を、日々の仕事の感覚で判断できます
- 管理者は「この人を育てる・任せる場合にどう動かすか」を、責任者の立場で考えられます
- 経営者は「会社の先行きや大切にしていることを話して、噛み合うか」を、経営の視点で確認できます
小さい会社では、ラウンドが2回、あるいは1回のこともあります。その場合も「回数を減らす」のではなく、「観点を面接の中でどう分けるか」を考えてください。たとえば2回なら、一次で現場視点と管理者視点を兼ね、最終で経営者が価値観と条件を確認する、といった圧縮ができます。
観点ごとの質問をどう設計するかは、構造化面接の始め方で扱っています。この記事では「誰が」の話に絞ります。
同席者に「見てもらうこと」と「任せないこと」を決めておく
同席者を呼ぶだけでは機能しません。役割を言葉にして渡します。
現場社員に見てもらうこと
- 業務の話をしたときの理解の深さ、質問の的確さ
- 「この人と隣で働くとしたら」の感覚(話しやすさ、確認の仕方)
- 経営者では気づきにくい、現場の実態とのずれ
現場社員に任せないこと
- 合否の最終判断(意見は聞くが、決めるのは別の人)
- 給与・入社日など、条件に関する回答や約束
- 応募者に合否や次回の連絡を、その場で口頭で伝えること
現場社員は採用面接に慣れていない場合もあり、親切心から「うちは残業少ないですよ」「たぶん受かりますよ」と口にしてしまうことがあります。求人票や社内ルールと食い違う発言が、後のトラブルの種になることがあります。事前に「答えられない質問は、後日会社から回答します」と言ってよいことを伝えておくと、同席者も安心して構えられます。
なお、応募者にどこまで質問してよいかという法令面の注意は、求人・面接で経営者がやりがちな法律NG行為で整理しています。同席者を増やすほど、面接官が「うっかり」聞いてしまう機会も増えるため、同席者全員に共有しておく価値があります。
現場を巻き込むこと自体の効果
現場社員が採用に関わることの意味や、負担を減らすコツは採用は社長一人の仕事じゃないで解説しています。ここでは「同席させたら終わり」ではなく、「同席者に何を期待するかを決める」ところまでが設計だと考えてください。
1回の面接の中でも役割を分ける
同席者が2人以上いる面接では、その場の役割も決めておきます。
- 進行役(主質問者):質問を主に担当する。1人に決める
- 観察役(同席者):応募者の受け答えや様子を見る。追加質問は面接の終盤にまとめて行う
- 記録役:やり取りを記録する。進行役と兼ねない
全員がそれぞれ思いついたことを聞き始めると、質問が脱線し、時間が延び、応募者も答えにくくなることがあります。「追加の質問は最後にまとめて」と決めておくだけで、流れが安定しやすくなります。
また、評価は面接が終わったあと、他の人の意見を聞く前に各自が記入する運用を勧めます。先に立場の強い人(社長や管理者)が感想を口にすると、それに引きずられて同調しやすくなります。評価の記入方法は面接評価シートを参照してください。
最終判断者の決め方
同席者が増えると、意見が割れたときに誰が決めるのかが問題になります。次の3点を事前に決めておきます。
- 最終判断者は誰か:採用後の責任を負う人を判断者とするのが、原則と考えるとよいでしょう。小さい会社では経営者が担う場合もありますが、店舗や部署に採用権限を委ねる会社なら、その責任者が判断者になることもあります。
- 配属先の意見をどう扱うか:「参考意見として聞く」のか、「強い懸念があれば見送る」のか。どちらが正しいということはなく、会社として決めておくことが大切です。
- 意見が割れたときの進め方:たとえば、懸念の理由を面接記録に沿って確認する、再面接や職場見学で確認する、といった手順を決めておきます。
決めていないと、「現場は反対だったが社長が押し切った」「現場の意見が強すぎて社長が言い出せなかった」といった不満が残ることがあります。実務担当と最終判断者を分けて考える方法は、採用業務の役割分担の決め方にも詳しくあります。
同席者を増やしすぎない——応募者の負担も設計に入れる
同席者を増やす目的は、確認したいことを漏れなく確認するためです。ただし、同席者が増えると緊張する応募者もいます。
同席者の人数に「これが適切」という決まった数はありません。判断基準は、人数ではなくその場の全員に役割があり、応募者にそれが伝わっているかです。
- 面接の冒頭で、同席者を名前と役割つきで紹介する(「この方は配属予定の部署で働いているBさんです。仕事の内容についてお話しします」)
- 全員が同時に質問を浴びせるのではなく、進行役が質問し、同席者は必要に応じて補足する
- 面接の途中で応募者からも質問できる時間をつくる
- ラウンドをまたいで、同じ質問を別の人が繰り返さない
応募者から見ると、面接は「選ばれる場」であると同時に「会社を見極める場」でもあります。面接当日の受け入れ環境については面接当日、応募者は「最初の数分」で不安になっていませんかも参考にしてください。
自社の面接体制、5つの点検ポイント
自社の体制を見直すときは、次の項目を確認してみてください。
- 各ラウンドで「確認すること」が、言葉で決まっているか
- 同席者に「見てほしいこと」と「任せないこと」を、事前に伝えているか
- 面接の中で、進行役・観察役・記録役が決まっているか
- 意見が割れたときの判断者とルールが決まっているか
- 応募者に、同席者の紹介と役割の説明ができているか
「いいえ」がいくつかあれば、面接の人数ではなく、設計の見直しを優先して検討してください。採用全体でどこを整えるべきか整理したい場合は、採用のセルフ診断チェックリストで自社の状況を点検してみてください。
まとめ
- 同席者は「誰を呼ぶか」ではなく、「各ラウンドで何を確認するか」から逆算して決める
- 現場社員・管理者・経営者は、それぞれ見る観点が違う。ラウンドごとに役割を分けると、質問の重複が減りやすくなる
- 同席者には「見てほしいこと」と「任せないこと」を事前に伝える。条件面の約束や合否の口頭連絡は任せない
- 最終判断者、配属先の意見の扱い、意見が割れたときの進め方は、面接を始める前に決めておく
- 同席者の人数に決まった正解はない。全員の役割が明確で、応募者にも説明できているかが基準
「一次は現場、最終は社長」という形は、それ自体は悪くありません。問題になりやすいのは、その形が「何となく」のまま続いていることです。まず次の面接から、各ラウンドで確認することを1行ずつ書き出してみてください。気になる点があれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q1. 社長が一次面接から出てはいけませんか?
出てはいけないという決まりはありません。社長自身が現場の様子を知りたい、応募者数が少なく回数を絞りたい、といった理由なら、一次から同席する設計もあります。その場合も「社長は何を見るのか」を決めておき、他の同席者の発言を抑え込まないよう配慮します。
Q2. 現場社員が面接に慣れていません。どう準備すればよいですか?
面接の直前に、5分ほどで役割を伝える時間を取ります。「見てほしいこと」「答えられない質問は後日回答と伝えてよいこと」「追加質問は終盤にまとめて」の3点が伝わっていれば、まず足ります。
Q3. 同席者の意見と社長の判断が違ったらどうしますか?
事前に決めた最終判断者に従います。そのうえで、判断の理由を同席者に伝えておくと、納得感が残りやすくなります。理由を伝えない運用が続くと、同席者は「意見を言っても無駄だ」と感じてしまい、協力が得にくくなることがあります。
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