2026年5月23日

「採用は社長一人の仕事じゃない」——現場社員を採用に巻き込む3つの方法

「採用は自分がやるしかない」

専任の人事担当がいない中小企業では、経営者が一人で採用を抱えるケースが多いです。求人票の作成・応募対応・面接・合否判断——これらをすべて社長が兼務している会社も少なくありません。

しかし、採用を社長一人でやり続けることには限界があります。負担が大きいだけでなく、「社長の目線だけで選ぶ」という構造が採用ミスにつながることもあります。

現場社員を採用プロセスに巻き込むことで、負担の分散だけでなく、採用の質そのものが変わりやすくなります。

なぜ現場社員の参加が採用精度を上げるのか

社長が面接で好印象を持った候補者でも、実際に一緒に働く現場スタッフとの相性がよくなければ、早期退職につながることがあります。

現場社員が採用プロセスに関わることで、以下の効果が期待できます。

  • ミスマッチが減りやすくなる:実際の業務を知っている社員が見ることで、「この人はうちの仕事に向いているか」という判断が加わります
  • 応募者の職場理解が深まる:社長からではなく現場スタッフから職場の話を聞くことで、応募者がリアルなイメージを持ちやすくなります
  • 入社後の定着率が上がりやすくなる:選考段階で現場社員と接点があると、入社後の馴染みやすさが変わることがあります

社員紹介採用(リファラル採用)とは異なり、「候補者を呼んでくること」ではなく「選考プロセスに参加すること」が今回のテーマです。

現場社員を巻き込む3つの方法

① 求人票のレビューを頼む

求人票を作成したあと、実際にその仕事をしている社員に「この内容で伝わりますか?」と確認してもらう方法です。

社長が書いた求人票には、現場目線が抜けていることがあります。「実際の1日の流れと違う」「この表現だと難しそうに見える」「うちの雰囲気がこれじゃ伝わらない」といった気づきが、求人票の質を高めやすくなります。

お願いの仕方は「これ読んでみてどう思う?」という一言で十分です。正式なレビュー会議を設ける必要はありません。1〜2名のスタッフに確認してもらうだけでも、求人票の精度が変わりやすくなります。

求人票の書き方全般についてはこちらの記事(応募が来ない理由)も参考にしてください。

② 職場見学のアテンドを任せる

面接の前後に職場を案内する際、社長ではなく現場スタッフにアテンドを任せる方法です。

社長から話を聞くと、候補者は「良いことだけを言っているのでは」と感じることがあります。現場スタッフから話を聞くと、「本音に近い話が聞けた」と感じやすくなります。

アテンドを任せる社員は、話し上手でなくても構いません。「仕事がどんな感じか」を自分の言葉で話してもらうだけで、候補者に職場のリアルが伝わりやすくなります。

職場見学の組み込み方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

③ 面接に同席してもらう

実際に一緒に働くことになる社員に面接に同席してもらう方法です。

同席の目的は2つあります。「現場視点での候補者の評価」と「候補者から見た会社の見え方」です。

現場視点の評価:社長だけでは気づかない「チームに馴染めそうか」「現場の業務に向いているか」を、一緒に働く社員の目で確認できます。

候補者から見た会社の見え方:社長だけが面接官だと「どんな人たちと働くか」がイメージしにくいです。同世代のスタッフが同席することで、「この人たちと働くのか」というイメージが具体化しやすくなります。

面接での進め方についてはこちらの記事(面接で聞く側が話しすぎる問題)も参考にしてください。


社員を巻き込む際の注意点

参加する社員の負担を最小限にする

採用に巻き込まれることを、社員が「余計な仕事が増えた」と感じないようにすることが大切です。

  • 求人票レビューは5〜10分程度のお願いにとどめる
  • 職場見学アテンドは1回15〜20分程度の想定で頼む
  • 面接同席は「月に何回ある」か事前に伝えておく

「突然頼まれる」より「事前に流れがわかっている」方が、負担感が小さくなりやすいです。

採用の最終判断は経営者が持つ

社員に参加してもらっても、最終判断は経営者が行うようにしておくとよいです。「社員に任せたら採用が進まない」「社員同士で意見が割れた」という状況を避けるため、最終判断の権限は明確にしておくことが大切です。

情報管理のルールを事前に伝える

候補者の個人情報(履歴書の内容・面接での発言)については、面接に同席した社員にも守秘意識を持ってもらう必要があります。就業規則や口頭でルールとして事前に伝えておくとより確実です。「選考内容は社外に出さない」「他の社員に話さない」という点を明確にしておきましょう。


まとめ

採用を社長一人で抱える必要はありません。現場社員を以下の3つの場面で巻き込むことで、負担と採用精度の両方が改善されやすくなります。

  • 1. 求人票レビュー:現場目線のフィードバックを求人票に反映させる
  • 2. 職場見学アテンド:現場スタッフから職場のリアルを伝えてもらう
  • 3. 面接同席:実際に働く仲間の視点を選考に加える

最初は一つだけ試してみるところから始めてみてください。

採用の仕組み化・外部委託の活用が気になる方は、お気軽にご相談ください


よくある質問

Q1. 採用に社員を巻き込むと、却下された候補者のことが社内に広まりませんか?

守秘義務のルールを事前に共有することで防ぎやすくなります。「面接に関する情報は他言しない」と明確に伝えておくことが大切です。採用に関わった社員が口外しないことは、候補者への誠実さでもあります。

Q2. 巻き込む社員はどんな人が向いていますか?

「実際にその仕事をしている人」が最も適しています。話し上手でなくても構いません。長く勤めていて職場のことをよく知っている人が同席することで、候補者に信頼感を与えやすくなります。

Q3. 社員が候補者を「採用してほしい」と言ったのに不採用にした場合、社員との関係が気まずくなりませんか?

採用の最終判断は経営者であることを事前に伝えておくことで、「意見は参考にするが決定権は社長にある」という認識が共有されやすくなります。採用決定後(内定通知後)のフォローで「なぜその判断をしたか」を説明できると、信頼関係を保ちやすくなります。

Q4. パート採用でも現場社員の同席は有効ですか?

有効です。特にパートは「職場の雰囲気・人間関係」を重視する傾向があります。同世代のパートスタッフが面接に同席することで、「この職場は自分に合いそうか」が伝わりやすくなります。

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