2026年7月17日
知らないと危ない。求人・面接で経営者がやりがちな法律NG行為
「うちは真面目にやっているから、法律違反なんて関係ない」
そう思っている経営者ほど、実は求人票や面接で法律に触れる表現を使っていることがあります。悪意があるわけではなく、単に「知らなかった」だけのケースは少なくないとみられます。
しかし、知らなかったでは済まされないのが法律です。ハローワークで求人票を突き返されたり、応募者からの指摘でトラブルになったりすることもあります。この記事では、求人・面接で経営者がやりがちな法律NG行為を整理し、安全な書き方・聞き方を紹介します。
求人票でやってはいけない3つの表現
① 年齢を制限する表現
「35歳以下」「若手歓迎」のような年齢を理由にした募集は、労働施策総合推進法により原則禁止されています。ハローワークの求人票では年齢を理由にした表現は基本的に受理されません。
ただし、例外もあります。「定年年齢を上限とする」「長期勤続によるキャリア形成のため35歳以下の方を対象とする(そのことを明示した場合)」など、法律で定められた一定の条件を満たせば年齢を限定できる場合があります。自己判断せず、ハローワークや社会保険労務士に確認することをおすすめします。
年齢を書けない代わりに、「未経験者歓迎」「〇〇の実務経験がある方」など、求める経験・スキルで表現する方法が安全です。
② 性別を限定する表現
「女性歓迎」「男性向けの仕事です」といった性別を理由にした募集は、男女雇用機会均等法により原則禁止されています。「主婦(夫)歓迎」も性別を暗示する表現として避けた方が無難です。
介護や保育など、実務上どうしても特定の性別が多くなりやすい職種であっても、募集要項の文言として性別を条件にすることは原則できません。女性が著しく少ない職種で女性を優遇するなど、法律で認められた例外的なケースもありますが、自己判断せずハローワークや社会保険労務士に確認してください。基本の進め方としては、「性別不問」とした上で、実際の配置や業務内容で調整することになります。
③ 差別につながりかねない表現
「〇〇出身者歓迎」など出身地に触れる表現や、「健康な方」のように暗に障害の有無を条件にするような表現も、慎重に扱う必要があります。「明るく元気な方」程度の表現は問題になりにくいですが、特定の属性を排除する意図が読み取れる書き方は避けてください。
求人票の書き方全般についてはこちらの記事でも解説しています。
面接で聞いてはいけない質問
厚生労働省は「公正な採用選考」の観点から、就職差別につながるおそれがある質問事項を示しています。次のような質問は、本人の適性・能力とは関係のない事柄として避ける必要があります。
- 本籍地や出生地に関する質問(「本籍はどちらですか」など)
- 家族の職業・地位・収入に関する質問
- 支持政党や思想・信条に関する質問
- 尊敬する人物や購読している新聞・雑誌に関する質問
- 生活環境・家庭環境に関する立ち入った質問(持ち家か賃貸かなど)
これらは「雑談のつもり」で聞いてしまいやすい質問でもあります。悪意なく聞いた一言が、応募者から「差別的な選考をされた」と受け取られるリスクがあることを知っておいてください。
面接で聞くべき質問の設計についてはこちらの記事を参考にしてください。
「うっかりNG」を防ぐための3つの対策
① 求人票・面接質問をテンプレート化する
毎回ゼロから求人票や質問項目を考えると、うっかりNG表現を使ってしまうリスクが高まります。一度、法令に沿った求人票のひな形と面接の質問リストを作っておくと、担当者が変わっても安全な状態を保ちやすくなります。
② 出す前に第三者に見てもらう
社内に人事の専任者がいない場合、求人票や面接の質問項目を社会保険労務士や外部の採用支援サービスにチェックしてもらうことも有効です。自分たちだけでは気づきにくい表現を客観的に見てもらえます。
③ ハローワークの求人票作成ガイドを確認する
ハローワークでは求人票の作成にあたって使用できない表現の一覧を案内していることがあります。ハローワーク経由で求人を出す場合は、窓口で確認しながら作成すると安心です。
まとめ
- 求人票の年齢・性別を限定する表現は原則法律違反にあたる
- 面接での本籍地・家族構成・思想信条などに関する質問は避けるべき事項として定められている
- 悪気のない「うっかりNG」を防ぐには、テンプレート化と第三者チェックが有効
法律を知らずに使っていた表現・質問があった場合も、今から直せば問題ありません。まずは自社の求人票と面接の質問リストを見直すところから始めてみてください。
法令面も含めた採用活動の見直しについて気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
→ 関連記事: 書類選考で何を見るか / 求人票「仕事内容」欄の書き方 / 採用面接で何を聞けばいいか
よくある質問
Q1. 「若手歓迎」も年齢制限にあたりますか?
「若手」という表現自体が年齢を暗示するため、原則として避けるべき表現です。求める人物像は「意欲的に新しいことに挑戦したい方」など、年齢に触れない表現に言い換えることをおすすめします。
Q2. すでに公開している求人票にNG表現があった場合はどうすればいいですか?
気づいた時点で速やかに修正してください。ハローワークに掲載している場合は、窓口またはオンラインで修正を依頼できます。自社サイトの求人ページも同様に見直しが必要です。
Q3. 面接で家族構成を聞いてはいけないなら、勤務時間の調整をどう確認すればいいですか?
「家族構成」ではなく、「土日祝の出勤は可能ですか」「転勤の可能性がありますが対応可能ですか」など、業務に直結する条件として質問する形にすれば問題ありません。目的は家庭の事情を聞き出すことではなく、勤務条件に対応できるかの確認です。
Q4. 中小企業でも行政指導の対象になりますか?
企業規模にかかわらず対象になります。年齢制限・性別限定などの違反に対しては、直接の刑事罰ではなく、労働局による助言・指導・勧告といった行政指導がまず行われます。「うちは小さい会社だから大丈夫」という認識は危険です。