2026年5月23日
「辞めた社員に話を聞いたら、採用が変わった」——退職者ヒアリングを次の採用に活かす
採用活動を振り返るとき、「なぜ採れなかったか」は考えても「なぜ辞めたか」を体系的に把握している会社は多くありません。
入社した社員が辞めるとき、そこには必ず理由があります。その理由の中には、求人票の書き方・面接での説明・入社後の対応など、採用プロセスの改善に直結する情報が含まれていることがあります。
退職者に話を聞く「退職者ヒアリング」は、採用改善のための貴重な情報源の一つです。
退職者ヒアリングで何がわかるか
退職者は、現役社員には言いにくい本音を持っていることが多いです。退職後に適切な形で話を聞くことで、採用プロセス全体の見直しにつながる気づきが得られることがあります。
「入社前と入社後のギャップ」が見える
求人票や面接での説明と、実際の職場の違いが早期退職の原因になっていることがあります。「求人票には〇〇と書いてあったのに、実際は違った」「面接で聞いた話と現実が違った」という声は、次の採用の改善点として活かせます。
「定着しなかった本当の理由」が見える
「残業が多かった」「人間関係が合わなかった」という表面的な理由の背景に、「最初の3ヶ月のフォローが薄かった」「相談できる人がいなかった」という改善可能な課題が潜んでいることがあります。
「求人票・採用広報で伝えるべきこと」が見える
「こんな仕事だとわかっていたら入社しなかった」という声は、求人票の記載を改善するヒントになります。逆に「この部分が魅力で入社した」という声は、次の求人票で強調すべきポイントを示してくれます。
ヒアリングの進め方
タイミング:退職が決まったあと・退職後1〜3ヶ月
退職が決まった直後は感情的になっていることがあるため、退職後少し時間が経ってから話を聞く方が率直な意見を聞きやすいことがあります。退職後1〜3ヶ月が一つの目安です。
「在職中に聞く」退職面談と「退職後に改めて聞く」フォローヒアリングの2段階で情報を収集するという方法もあります。
形式:気軽な会話形式で
正式な「インタビュー」として構えると、相手も構えてしまいます。「お茶でもしながら少し話を聞かせてもらえませんか」という気軽なトーンで依頼する方が、本音が出やすくなります。
オンライン(Zoom等)での実施も選択肢の一つです。退職後に改めて連絡することに抵抗を感じる方もいるため、「今後の採用改善のために参考にしたい」という目的を明確に伝えることをお勧めします。
聞く質問例
入社前・入社時について:
- 「この会社に入社した理由を教えてもらえますか?」
- 「入社前にどんなことを期待していましたか?」
- 「入社後に思ったことと違った点はありましたか?」
在職中について:
- 「仕事でやりがいを感じた場面はどんなときでしたか?」
- 「逆に、もう少しこうだったら良かったという点はありますか?」
- 「困ったとき、誰かに相談できましたか?」
退職の判断について:
- 「退職を決めた理由(もし話せる範囲で)を教えてもらえますか?」
- 「もし変わっていたら続けていたかもしれないと思う点はありますか?」
批判を引き出すことが目的ではなく、「採用と定着の改善に活かすための情報収集」という姿勢で臨むとよいです。
ヒアリング結果の活かし方
求人票・採用広報の改善に活かす
「こんな仕事だと思っていなかった」という声があれば、求人票の仕事内容の記載を見直します。実際の業務の詳細・大変な点・やりがいをより正直に書くことで、ミスマッチが減りやすくなります。
求人票の書き方についてはこちらの記事(応募が来ない理由)も参考にしてください。
面接での説明内容を見直す
「面接で聞いた話と実際が違った」という声があれば、面接で候補者に伝えている情報を確認します。「良い面だけを伝えていないか」「実際の大変さをちゃんと伝えているか」を見直す機会になります。
面接の進め方についてはこちらの記事も参照してください。
入社後フォローの仕組みを整える
「最初の数ヶ月が孤独だった」「何を聞いていいかわからなかった」という声があれば、入社後フォローの設計を見直します。定着についてはこちらの記事で解説しています。
ヒアリングを続けるための仕組み
記録を残す
ヒアリングで聞いた内容を記録しておかないと、次の採用に活かせません。簡単なメモでも構いません。「入社理由」「退職理由」「改善点のヒント」の3点を書き留めておくだけで、次に活用しやすくなります。
複数人の傾向を見る
1人の意見だけでは偏ることがあります。複数人のヒアリング結果に共通する傾向が見えてきたとき、それが改善につながる可能性が高い点といえます。
採用全体の数値管理についてはこちらの記事(採用KPI管理)も参考にしてください。
まとめ
退職者ヒアリングは、採用改善のための貴重な情報源の一つです。
- 入社前後のギャップ:求人票・面接の改善に直結する
- 在職中の体験:定着施策の見直しに活かせる
- 退職理由:採用全体のプロセスを見直すヒントになる
「辞めた社員のことを振り返るのは気が重い」と感じる経営者もいます。しかし、その声が次の採用を変える可能性があります。まず一人、退職後に連絡を取ってみることから始めてみてください。
採用プロセスの見直しが気になる方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q1. 退職者に連絡するのは気まずくないですか?
「採用改善のための参考にしたい」という明確な目的を伝えることで、協力してくれる方もいます。「現職への批判をしてほしいわけではない」という姿勢を伝えることも大切です。
Q2. 退職者が本音を話してくれない場合はどうすればいいですか?
批判を強要しないこと、答えにくい質問はスキップしてもらって構わないことを最初に伝えると、話しやすい雰囲気が作りやすくなります。「教えてもらえる範囲で構いません」という前置きが有効です。
Q3. 退職者ヒアリングで得た情報を社内で共有してもいいですか?
個人が特定されない形で、改善点として共有することは問題ありません。ただし「〇〇さんがこう言っていた」という形での共有は、退職者のプライバシーに関わるため避けることが望ましいです。
Q4. 退職者ヒアリングの代わりになる方法はありますか?
在職中の社員への定期的なアンケート・面談(1on1)も有効です。ただし在職中は言いにくいことがあるため、退職者のヒアリングとは異なる情報が得られることがあります。両方を組み合わせると、より全体像が見えやすくなります。