2026年5月25日
給与テーブルを「公開」すると採用はどう変わるか
「給与については面接でご相談」という求人票をよく見ます。会社側の事情として、「個人によって変わるから一概に言えない」という理由もあるでしょう。
でも候補者の立場から見ると、これは「応募する前に調べられない」という情報の不透明さです。
給与が見えない求人は、比較できないために後回しにされることがあります。
「応相談」が採用を難しくする理由
求職者が複数の求人を比較するとき、給与は最初に見る条件のひとつです。他の会社が「月給22〜28万円(経験・スキルによる)」と書いているのに対し、「給与は応相談」では比較対象に入りにくくなります。
応募の段階でのミスマッチも起きやすくなります。「面接してみたら給与が希望と大きくズレていた」という体験が続くと、面接のコストが無駄になり、候補者にも会社にも時間のロスが発生します。
給与テーブル公開とはどういうことか
「給与テーブルの公開」は、「全社員の給与を外部に開示する」ことではありません。採用において「どんな基準でいくら支払うか」を候補者に示すことです。
例えば次のような形です。
| 等級 | 対象 | 月給 |
|---|---|---|
| スタッフ1 | 入社〜2年 | 20〜22万円 |
| スタッフ2 | 3〜5年(技能習熟) | 22〜25万円 |
| リーダー | チームリーダー相当 | 26〜30万円 |
細かい数字や全社の体系でなくても、「入社時の目安」「何年かけてどう上がるか」が伝わる情報があれば、候補者は安心して応募できます。
公開することで起きる3つの変化
① ミスマッチ応募が減る
「応相談」では給与感覚が合わない候補者も応募してきます。公開すると希望と合わない候補者は事前に離脱するため、面接数は減っても合う候補者の割合が上がりやすくなります。
② 入社後の不満が減る
給与のギャップは早期退職の原因のひとつです。「思っていたより低かった」という不満は、給与情報を事前に開示しておくことで防げます。採用ミスのコストを考えると、この効果は大きいです。
③ 会社への信頼が上がる
給与を開示している会社は、候補者に「誠実な会社」という印象を与えることがあります。「隠している」と思われないだけで、応募のハードルが下がりやすくなります。
公開を進める3ステップ
ステップ1:等級と給与の目安を整理する
まず社内で「どの役職・経験年数の人がいくらもらっているか」を整理します。この作業自体が、給与の不平等や基準の曖昧さに気づく機会になります。
整理の過程で社内の給与に不整合が見つかることがあります。公開前に社内調整が必要な場合は、まず整備してから公開のステップに進んでください。
ステップ2:採用で使うレンジを決める
全体の給与体系を外部に出す必要はありません。「入社1年目の目安」「3〜5年目の目安」という採用時点で伝える情報だけ決めます。
ステップ3:求人票・採用ページに反映する
「月給22〜28万円(経験・スキルにより異なる)」という形で表記します。求人票での給与の書き方のテクニックについては求人票の給与の書き方で詳しく解説しています。
「給与が低いから公開できない」という場合
給与水準が業界平均より低い場合に「公開すると不利になる」と感じる経営者もいます。
一方で、給与が低くても採用に成功している会社は多くあります。給与以外の働く魅力(勤務時間の柔軟性・職場の雰囲気・成長機会)が明確に伝わっているケースです。給与を上げなくても採用力は上げられるで解説していますが、給与の低さをカバーできる場合もあります。
「給与は低いが、公開している」という誠実さが、返って共感を呼ぶことがあります。
まとめ
- 「応相談」は候補者の比較・検討を難しくし、応募のミスマッチを増やす
- 給与テーブルの公開は全社員の給与開示ではなく「採用時の目安」の明示で十分
- 公開によりミスマッチ応募の減少・入社後の不満軽減・会社への信頼向上の3つの効果がある
- まず等級と目安を整理し、求人票に「月給〇〇〜〇〇万円」として表記するところから始める
給与を見せることへの抵抗感より、見せないことで失っている応募の方が多いかもしれません。
→ 関連記事: 求人票の給与の書き方 / 給与が低くても採用できた会社の話 / 定着しない会社の共通点