2026年5月13日

「給料が低いから採れない」は本当か——給与以外で選ばれた会社の話

「うちは給料が低いから、応募が来ないんです」——採用の相談を受けるとき、この言葉が出てきた瞬間に少し注意します。

なぜかというと、その言葉が出た時点で、思考が止まっているケースが多いからです。

給与が採用に影響するのは事実です。でも「給与だけで採用が決まる」のであれば、地方の中小企業は全員負け確定になります。実際はそうじゃない。給与水準が大手より低くても、毎年きちんと採用できている会社はあります。その差はどこにあるか。

1. 求職者は給与だけで決めていない

求職者が会社を選ぶ際に見ているのは、給与だけではありません。

採用支援の現場で求職者から繰り返し出てくる声を整理すると、以下の要素があります。

  • 職場の雰囲気・人間関係
  • 仕事の安定性・長く続けられるか
  • 通勤のしやすさ・転勤がないか
  • 仕事の内容が自分に合っているか
  • 会社の考え方や方針に共感できるか

給与は確かにリストに入ります。でも「給与が最高なら他は何でもいい」という求職者は多くありません。特に地方では、「生活できる水準であれば、安定して長く働けるかどうか」を重視する傾向があります。

給与以外の要素が選択肢を絞るとき、最後に残るのは「ここで働きたいか」という感覚です。その感覚を動かすのは、数字ではなく言葉と印象です。

2. 「給与以外」を言語化できているか

問題は給与の水準そのものより、給与以外の強みを言葉にできているかどうかです。

たとえば、こういう会社があったとします。

  • 残業がほとんどない
  • 仕事の裁量が広く、入って2年で担当業務を任せてもらえる
  • 社長が現場に出ていて、経営判断のプロセスが見える
  • 地域のイベントに会社として関わっていて、地元のつながりがある

これは明らかに「給与以外の強み」があります。でも求人票にこう書いてあったとしたら、どうでしょう。

「正社員募集。月給18万円〜。経験不問。」

何も伝わっていない。求職者は比較材料がないので、消去法で「給与が高いところ」を選ぶしかなくなります。

給与以外の強みがあるのに言語化されていない会社は、給与で負けているのではなく、伝え方で負けています。

3. 給与以外で選ばれた会社が変えたこと

採用改善が起きたケースで共通しているのは、給与を上げたことではなく、「自分たちが何者か」を丁寧に言葉にしたことです。

製造業のケース

もともと求人票には業務内容と給与しか載っていなかった。「社員が定着している理由」を聞きとって書き直したところ、「仕事の幅が広くてスキルが身につく」「先輩が教えてくれる雰囲気」という言葉が出てきた。それを求人票と採用ページに反映したところ、応募数が増えただけでなく、入社後の定着率も上がった。

福祉事業所のケース

「給与が地域標準より低い」という前提は変わらなかった。ただ、「地域の人と毎日顔を合わせられる」「小規模だから利用者一人ひとりと深く関われる」という点を前面に出すようにした。業務の性質に共感している人が応募してくるようになり、採用後のミスマッチが減った。

どちらも給与に手を入れていません。変えたのは「何を伝えるか」だけです。

4. 自社の強みを引き出す質問リスト

「うちに強みなんてない」と言う経営者もいます。でも実際に社員に話を聞くと、まず出てきます。以下の質問を、在籍年数が長い社員に聞いてみてください。

選択の理由を掘る質問

  • この会社を選んだ理由を、給与以外で教えてください
  • 前の職場と比べて、ここで良かったと思ったことは何ですか

日常の環境を掘る質問

  • 仕事でやりがいを感じる瞬間はどんなときですか
  • 入社前と入社後で、会社のイメージはどう変わりましたか
  • 友人にこの会社を勧めるとしたら、何を伝えますか

この回答の中に、求人票や採用ページに載せるべき言葉が入っています。マーケティングの言葉にする前に、社員が自然に使っている言葉をそのまま使う方が、求職者には届きます。

言語化した強みを求人票に落とし込む方法については、AIに求人票を書かせてみた実例も参考にしてください。地方採用における「戦う土俵を変える」考え方はこちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ

  • 求職者の意思決定は給与「だけ」では動いていない
  • 給与以外に強みがあるのに、言語化されていない会社は「伝え方」で負けている
  • 採用できている会社が変えたのは給与ではなく「何を・どう伝えるか」
  • 長く働いている社員への質問が、強みを言語化する一番の近道

「給与が低いから採れない」と結論づける前に、給与以外の理由で今いる社員が残っている理由を聞いてみてください。そこに、次の採用メッセージがあります。


採用メッセージの言語化、一緒に考えます

「社員に話を聞いてみたいけど、どう質問すればいいかわからない」「強みはあると思うが、求人票にどう書けばいいかわからない」——そういった場合は、個別にご相談ください。

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