2026年7月19日

地方の中小企業が外国人材採用で失敗しないための最初の一歩

「日本人だけでは人が集まらない。外国人材の採用も考えたほうがいいのか」——そう感じ始めた経営者は少なくありません。ただ、いざ調べ始めると、在留資格の種類、日本語のレベル、生活支援の範囲など、日本人採用にはなかった論点が次々に出てきて、結局手が止まってしまうことがあります。

この記事では、地方の中小企業(30名前後・人事担当を経営者が兼務しているような会社)が外国人材採用を検討し始めた段階で、最初にやるべき3つの準備を整理します。

1. なぜ外国人材採用で最初につまずきやすいのか

日本人採用と外国人材採用の一番の違いは、「採用できるかどうか」の前に「そもそも働かせてよいか」という確認が必要な点です。

  • 在留資格によって、就ける職種や業務内容に制限がある
  • 日本語でのコミュニケーションが前提の業務設計になっている職場が多い
  • 住居契約や行政手続きなど、生活面のサポートが実質的に必要になる場面がある

日本人採用の延長で「とりあえず求人を出してみる」と、応募が来ても資格外の業務にしか採用できなかったり、採用後に生活面でつまずいて早期離職につながったりすることがあります。準備の順番を間違えないことが、最初の一歩として重要です。

2. 最初の準備①:在留資格を確認する

外国人材を雇用する際は、その方が持つ在留資格で、想定している業務に就けるかどうかをまず確認する必要があります。

在留資格には、技能実習・特定技能・技術・人文知識・国際業務など複数の種類があり、それぞれ従事できる業務の範囲が定められています。在留カードに記載された在留資格と就労制限の有無を確認せずに採用を進めると、資格外活動にあたってしまうリスクがあります。

実務上のポイント

  • 在留カードの「就労制限の有無」欄を必ず確認する
  • 想定する業務がその在留資格の範囲内かどうか、ハローワークの外国人雇用サービスコーナーや専門家に相談する
  • 労働施策総合推進法に基づき、雇入れ・離職の両方について「外国人雇用状況の届出」をハローワークに提出する義務がある

在留資格の確認は専門的な判断が必要になる場面もあるため、迷った時点でハローワークや行政書士に相談したほうが、後々のトラブルを避けやすくなります。

3. 最初の準備②:受け入れ体制を整える

在留資格の確認と並行して考えておきたいのが、社内の受け入れ体制です。

言語面のハードルを下げる

すべての業務指示を口頭の日本語だけで完結させる前提だと、意思疎通のずれが起きやすくなります。作業手順を図やイラストで示す、やさしい日本語で書き直す、翻訳アプリを併用するなど、既存のマニュアルを見直すだけでも負担を減らせることがあります(求人票の「仕事内容」欄はこう書くで触れている「具体的に書く」意識は、外国人材向けのマニュアル作りにもそのまま応用できます)。

相談役・キーパーソンを決めておく

「困ったときに誰に聞けばいいか」が明確でないと、小さな疑問を抱えたまま我慢してしまい、それが不満や早期離職につながることがあります。担当を1人決めておくだけでも、心理的な安心感につながりやすくなります。

既存社員への事前説明

受け入れる本人だけでなく、一緒に働く既存社員への事前説明も欠かせません。「なぜ外国人材を採用するのか」「どんな配慮が必要か」を共有しておかないと、現場の戸惑いが本人に伝わってしまうことがあります。

4. 最初の準備③:生活支援の準備をしておく

外国人材の採用が日本人採用と大きく異なるのが、仕事以外の生活面でも一定のサポートが必要になる点です。

  • 住居探し(保証人・契約手続きの壁)
  • 銀行口座の開設、携帯電話の契約
  • 役所での住民登録や各種手続き
  • 医療機関のかかり方

これらすべてを会社が代行する必要はありませんが、「初めての一人ではハードルが高い手続き」について、どこまで会社が手伝うかを事前に決めておくと、採用後の混乱を減らせることがあります。地域によっては、自治体や国際交流協会が外国人向けの生活相談窓口を設けている場合もあり、そうした既存の支援リソースを把握しておくだけでも、会社の負担を抑えながら本人を支えることができます。

5. どこから手をつければいいか

3つの準備を同時に進める必要はありません。順番としては、

  1. まず在留資格の要件を確認し、採用そのものが可能かを見極める
  2. 並行して社内の受け入れ体制(言語・相談役・既存社員への説明)を整える
  3. 採用が具体化してきた段階で、生活支援の範囲を決める

という流れで進めると、無理なく準備を進めやすくなります。特に①の在留資格確認は、採用の可否そのものに関わるため、最優先で着手することをおすすめします。

まとめ

  • 外国人材採用は「働かせてよいか」の在留資格確認が最初の関門になる
  • 言語面のハードルを下げる工夫と、相談役を決めておく受け入れ体制づくりが早期離職を防ぐ
  • 住居・行政手続き・医療など生活支援の範囲を事前に決めておくと、採用後の混乱を減らせることがある

外国人材採用は、日本人採用にはない準備が必要になる分、最初のハードルを高く感じやすいテーマです。ただ、在留資格・受け入れ体制・生活支援の3点を順番に整理していけば、地方の中小企業でも無理なく検討を進められます。


「外国人材採用、何から始めればいいか分からない」という場合はお気軽にご相談ください

→ 関連記事: 介護・福祉の採用が難しい本当の理由と地方中小企業の突破口 / 建設業・工務店の採用が難しい本当の理由と地方中小企業の突破口 / 採用改善セルフ診断

上部へスクロール