2026年5月18日

「どんな人を採りたいか、決まってますか?」——採用ペルソナを持たない会社の盲点

「どんな人でもいいから、とにかく来てほしい」——採用に苦戦している経営者から、よく聞く言葉です。

気持ちはわかります。人手が足りない状況では、選り好みしている余裕がないと感じるのは当然です。

でも、この考え方が採用をさらに難しくしていることがあります。「誰でもいい」という状態では、誰にも刺さらない求人票になりやすく、面接でも何を見ればいいかわからなくなりやすくなります。

採用の手前に「どんな人を採るか」を決めるステップがあります。これを「採用ペルソナ」と呼びます。

「誰でもいい採用」が引き起こすこと

採用したい人物像を決めないまま採用活動を進めると、こんなことが起きやすくなります。

求人票が「広すぎて刺さらない」

ターゲットを絞らない求人票は、職種・待遇・条件を並べるだけになりがちです。「未経験歓迎・年齢不問」と書いた結果、「自分のことを言っているのかわからない」と感じた求職者がスルーしていくことがあります。

「なんとなく合いそう」で面接を通過させてしまう

選考基準が曖昧だと、面接官の主観で判断することになります。「なんかいい感じの人だった」「元気そうだから」といった印象で採用を決めてしまい、入社後に「思っていた人と違う」というミスマッチが起きやすくなります。

長続きしない採用が繰り返される

ミスマッチが起きると、早期退職につながりやすくなります。また同じ採用をして、また同じ早期退職をする——このループから抜け出しにくい会社に共通しやすいのが、「採る人物像が決まっていない」という状態です。

採用ペルソナとは何か

採用ペルソナとは、「自社に合う人物像を具体的に言語化したもの」です。

たとえば「20〜30代の若手」ではなく、「地元志向で長く働きたいと考えている25〜35歳、前職で接客やチームワークの経験があり、マニュアルより現場判断が多い環境でも動ける人」のように、より具体的なイメージを描きます。

すべての条件を満たす人だけを採用するという意味ではありません。「この人物像に近い人に届けたい」という軸を持つことで、求人票の書き方・面接での質問・採否の判断が一貫しやすくなります。

採用ペルソナを決める3つの視点

特別なフレームワークは必要ありません。以下の3つの視点で考えると、自社のペルソナが見えてきます。

視点①「長く続けてくれた社員」を振り返る

今在籍している社員のうち、3年以上続いている人・活躍している人を思い浮かべてください。

  • どんな経歴・前職を持っているか
  • なぜこの会社に入ってきたか
  • どんな価値観・行動パターンを持っているか

この人たちの共通点が、「自社に合う人物像」のヒントになりやすいです。

視点②「早く辞めてしまった人」を振り返る

反対に、早期退職した人にも共通点がないか振り返ります。

  • どんな動機で入社してきたか
  • 何がミスマッチになったか
  • 面接の段階で気づけたサインはあったか

「合わなかった人の特徴」を明確にすることで、「合う人の条件」が浮かび上がりやすくなります。

視点③「この仕事に必要な素質」を考える

業種・職種によって、向いている人の傾向は変わります。

  • 細かい作業が多い仕事か、変化対応が多い仕事か
  • 一人で黙々と進める仕事か、チームで動く仕事か
  • マニュアルがしっかりある環境か、自分で考えて動く環境か

スキルや経験よりも「この環境で動ける人かどうか」の方が、定着率に影響することが多いです。

ペルソナが決まると何が変わるか

採用ペルソナが言語化できると、採用活動の各ステップが変わりやすくなります。

求人票が具体的になる
「どんな人に読んでほしいか」が決まると、書く内容が変わります。ターゲットに響く言葉・仕事内容の表現・会社の雰囲気の見せ方が変わり、合う人からの応募が増えやすくなります。求人票の改善については「求人を出しても誰も来ない会社」と「すぐ埋まる会社」の違いとはも参考になります。

面接で見るべきポイントが明確になる
人物像が決まると、「この人はペルソナに近いか」という軸で面接を進められます。どんな質問をすれば本音が見えるか、何を判断基準にするかが定まりやすくなります。

選考の判断がぶれにくくなる
「なんとなく」ではなく「ペルソナとの一致度」で判断できるため、複数の採用担当者がいる場合でも基準が統一されやすくなります。

自社の採用に何が足りないかを診断したい場合は、採用のセルフ診断も活用してみてください。

まとめ

  • 「誰でもいい」の採用はミスマッチと早期退職を招きやすい
  • 採用ペルソナとは「自社に合う人物像を言語化したもの」
  • 長く続けてくれた社員・辞めた社員・仕事の特性の3視点で考えると見えてくる
  • ペルソナが決まると求人票・面接・採否判断が一貫しやすくなる

どんな人を採りたいかが決まっていないまま採用活動を続けることは、地図なしに移動するようなものです。まず「自社に合う人物像」を言葉にすることが、採用改善の出発点になります。


「採用ペルソナの整理から一緒に考えたい」という方は、お気軽にご相談ください。

→ 関連記事: 求人票で差がつく理由 / 採用のセルフ診断 / 採用ミスのコストを知る

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