2026年5月15日

「人事専任者がいない」のに採用を回している会社がやっていること

「うちは専任の人事担当がいないから、採用がうまくいかないんです」——こういう声をよく聞きます。

でも実際には、専任の人事担当がいなくても採用を着実に回している中小企業は存在します。従業員20〜40名規模で、経営者が採用を兼務しながら、毎年コンスタントに人が入っている会社です。

その会社と「採れない会社」の差は、人手の差ではありませんでした。仕組みの有無の差でした。

「採れない原因は人事担当がいないから」は本当か

人事専任者がいないと採用が不利、というのは一面では正しいです。でも「だから採れない」は別の話です。

専任の人事担当を置く大企業でも採用に失敗することはあります。逆に、専任がいない小さな会社でも、毎年必要な人材を採っているところはあります。

差は「専任がいるかどうか」ではなく、「採用に関わる作業が毎回ゼロスタートかどうか」です。

専任がいない会社の典型的な失敗パターンはこうです。

  • 欠員が出るたびに「どこに求人を出すか」から考え直す
  • 求人票を毎回一から書く
  • 面接で何を聞くか決まっていないので、毎回違う内容になる
  • 問い合わせの連絡が経営者の携帯に届くが、忙しくて返信が遅れる

これは人がいないから起きる問題ではなく、採用作業が属人化(担当者個人に依存した状態)・都度対応になっているから起きる問題です。

採用を回している会社が共通してやっていること

専任の人事担当なしで採用を回している会社には、3つの共通点があります。

① 採用フローをテンプレート化している

採用活動には、毎回繰り返す作業があります。求人票の作成、応募者への連絡、面接の設定、合否連絡。これらを毎回ゼロから考えていると、経営者の時間がいくらあっても足りません。

採用を回している会社は、一度うまくいった型を使い回しています。

  • 求人票の型: 仕事内容・1日の流れ・職場の雰囲気・求める人物像の4項目を埋めるだけで完成するフォーマット
  • 面接の質問リスト: 毎回聞く10問を固定しておく(なぜこの仕事を選んだか、前職での経験、大事にしていること、など)
  • 採用基準のメモ: 「こういう人はうちに合う」「こういう人は合わない」を簡単に書き出したもの

これがあると、次に採用が必要になったとき「また一から考える」が「型に当てはめる」に変わります。対応にかかる時間を大幅に短縮できます。

② 問い合わせ窓口と対応ルールを決めている

採用がうまくいかない会社の多くで、「応募があっても返信が遅い」という問題が起きています。求職者は複数社を検討しながら動いています。返信が2〜3日遅れると、それだけで別の会社に気持ちが離れやすくなります。

採用を回している会社は、経営者一人に問い合わせを集中させていません。

  • ハローワークや求人サイトへの問い合わせは、事務担当者が初動対応する
  • 「応募があったら24時間以内に連絡する」というルールを決めている
  • 面接の日程調整も、経営者が直接やらず担当者が間に入る

「経営者が全部やる」ではなく「経営者しかできないこと以外は任せる」という発想の転換です。

経営者でないとできないのは、採用の最終判断と、面接での会社の想いを語る部分だけです。そこ以外は任せられます。

③ 外部の人や会社の力をうまく借りている

「全部自社でやる」ことにこだわっていると、採用の負担は限界まで膨らみます。外部に任せられる部分は任せるというのが、専任なしで採用を回す会社の共通認識です。

具体的にはこういった活用が多いです。

求人票の作成・改善

求人票を書くのが得意な人は多くありません。専門家に依頼すると、同じ条件でも読まれる求人票に変わることがあります。

採用媒体の選定・管理

ハローワーク、求人サイト、SNS——どこに出すかを毎回判断するのは手間がかかります。地域の採用動向を知っている専門家に相談すると、無駄な出稿費を減らしながら効果を上げやすくなります。

社労士・採用支援会社の活用

入社後の手続きや雇用契約書の作成は社労士に、採用活動そのものの設計や伴走は採用支援会社に依頼できます。「全部頼む」のではなく「ここだけ頼む」という部分活用でも、経営者の負担は大きく変わります。

まず何から始めるか

採用の仕組みを整えようとすると「全部やらないといけない」と感じて、着手できなくなる経営者が多いです。

始める順番はシンプルです。

1. 今の採用フローを一度書き出してみる

求人を出してから採用決定まで、自分が何をしているかを書き出します。「どこに一番時間がかかっているか」「どこで止まることが多いか」が見えてきます。

2. そこを一つだけ改善する

全部を同時に変えようとしない。時間がかかっているのが「求人票を毎回書き直すこと」なら、テンプレートを一つ作る。返信が遅くなるなら、対応ルールを決めて事務スタッフに伝える。

小さな一手から始めた会社が、気づいたら毎年安定して採れるようになっています。

まとめ

  • 「専任人事がいないから採れない」は思い込みで、実態は仕組みがないことが問題
  • 採用を回している会社は①フローのテンプレート化、②窓口と対応ルールの固定、③外部の人や会社の力を借りることをしている
  • 全部を一度に変えようとせず、「どこに時間がかかっているか」を特定することから始める

採用の仕組みをどう整えるか、現状をお聞きして一緒に考えます。気になった方はお気軽にご相談ください。

→ 関連記事: 求人を出しても来ない会社とすぐ埋まる会社の違い / 採用のセルフ診断チェックリスト

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