2026年5月24日
奨学金返還支援制度を採用に使う——地方中小企業が使える制度の基本
奨学金返還支援制度を採用に使う——地方中小企業が使える制度の基本
「大手と待遇で差をつけられない」と感じている地方中小企業の経営者に、注目してほしい採用施策があります。
奨学金返還支援制度です。
大学・短大・専門学校を卒業した若者の多くが奨学金を抱えています。その返還を会社が支援する仕組みを打ち出す中小企業が、採用力強化の手段として活用する動きが出てきています。
この記事では、奨学金返還支援の仕組みと、地方中小企業での実践ポイントを解説します。
奨学金返還支援とは
基本的な仕組み
企業が従業員の奨学金返還額の一部または全部を補助する制度です。毎月または年1回、会社から従業員に支給(または直接機関へ支払い)する形が一般的です。
金額は企業によって異なりますが、月5,000円〜2万円程度の補助を設けているというケースが見られます。
日本学生支援機構(JASSO)の代理返還制度
JASSOでは、企業が従業員に代わって奨学金を直接返還できる「代理返還制度」を設けています(2021年4月開始)。
この制度を使うと:
– 企業がJASSOに直接支払いをするため、実務が比較的シンプル
– 企業の支払いは「給与・賞与以外の経済的利益」として所得税・社会保険料の対象外(一定条件あり)
ただし税務・社会保険の扱いは細かい条件があるため、導入前に社労士・税理士への確認を推奨します。
採用に与える効果
若者の負担感と一致した支援
日本学生支援機構の調査によれば、大学等を卒業した奨学金利用者の返還額は平均300万円超という報告があります(調査時点による変動あり)。毎月の返還額が家計に影響する若者にとって、「返還を手伝ってくれる会社」は差別化ポイントとして目に留まりやすいです。
特に地方出身の若者の場合、「地元に戻って働きたいが、大手より給与が低い」という葛藤があります。奨学金支援があることで、給与差の一部をカバーする訴求ができます。
求人票に書ける「具体的な福利厚生」
「充実した福利厚生」という抽象的な記載より、「奨学金返還支援あり(月〇〇円)」という具体的な記載の方が目を引きやすいです。他社との差別化ポイントとして求人票・採用サイトに明記しやすいのも利点です。
導入にかかるコストと規模感
月1万円の支援であれば、年12万円/人のコストです。5人に支給しても年60万円。採用コスト(求人広告費・紹介手数料)と比較すると、定着につながる投資として検討に値します。
一方で、制度として就業規則に定める必要があり、対象者・支給条件・上限額・在籍要件(何年以上勤務した場合など)を設計する必要があります。
制度設計は社労士と相談しながら進めるのが確実です。
地域の補助制度との組み合わせ
一部の都道府県・市町村では、企業が奨学金返還支援制度を導入した際に補助金を支給する仕組みを設けています。
地方出身者のUターン就職促進を目的としたものが多く、地域によって内容が異なります。自社所在地の都道府県や市町村の商工担当窓口・中小企業支援機関に確認することで、上乗せできる支援がある可能性があります。
まとめ
- 奨学金返還支援は若者採用の差別化に使いやすい福利厚生のひとつ
- JASSO代理返還制度を使うと実務が比較的シンプル
- 月1万円×5人=年60万円程度から設計可能
- 就業規則への記載・条件設計は社労士と相談
- 地域の補助金との組み合わせで自己負担を抑えられる場合がある
採用に使える助成金・支援制度の全体像についてはこちらの記事も参考にしてください。
制度活用を含む採用戦略について相談したい方は、まずお気軽にご連絡ください。