2026年8月29日

自分で書いた求人票の穴は、自分では気づけない

自分で書いた求人票の穴は、自分では気づけない

「うちの求人票、そんなにおかしなことは書いていないはずだ」——そう思っている経営者ほど、実は要注意です。

求人票は、自社のことを一番よく知っている人が書きます。しかしその「よく知っている」ことこそが、求人票の分かりにくさを生む原因になっていることがあります。書いた本人には当たり前すぎて、何が説明不足なのか気づけないからです。

この記事では、経営者自身が求人票を書くときに陥りやすい「分かるだろう」の落とし穴と、第三者の目で見て初めて気づける穴の具体例を解説します。


なぜ「自分で書いた求人票」は自分では見抜けないのか

人は、自分がすでに知っている情報を「相手も分かっているはず」と無意識に前提にしてしまう傾向があります。心理学では「知識の呪縛」と呼ばれる現象で、専門知識を持つ人ほど、その分野を知らない人の視点に立ち戻るのが難しくなります。

経営者にとって、自社の仕事内容・社内の呼び方・業務の流れは日常そのものです。だからこそ、初めてその会社を知る求職者が何を分からないと感じるかを想像しにくくなります。

  • 社内で当たり前に使う略語や専門用語を、説明なしで書いてしまう
  • 「うちらしさ」が自分の中では明確でも、文章にすると誰にでも当てはまる表現になっている
  • 自分では十分に具体的に書いたつもりでも、初めて読む人には情報が足りていない

これらはすべて、書いた本人には見えにくい種類の「穴」です。何度も読み返して推敲しても、自分の頭の中にある補足情報で無意識に文章を補完してしまうため、自分だけでは気づけません。


第三者が指摘しがちな「求人票の穴」の具体例

実際に外部の目で求人票を読むと、次のような点が指摘されることがよくあります。

① 専門用語・社内用語の説明不足

「〇〇システムの運用」「△△工程を担当」など、社内では通じる言葉がそのまま使われているケースです。求職者の中にはその業界の未経験者も少なくなく、何をする仕事なのか具体的にイメージできないまま応募をためらってしまうことがあります。

② 求める人物像が「書き手の頭の中」にしかない

「向上心のある方」「コミュニケーション能力の高い方」といった人物像は、書いた本人の中では具体的な誰かをイメージして書いていることがあります。しかし文章にする際にその具体像を省略してしまうと、読む側には抽象的な言葉だけが残り、自分が当てはまるかどうか判断できません。(仕事内容欄そのものの具体的な書き方は求人票の「仕事内容」欄、こう書くと応募が変わるで扱っていますが、ここで指摘したいのは書き方の技術以前に「書き手自身がその抜けに気づけない」という点です)

③ 「うちらしさ」が誰にでも当てはまる表現になっている

「アットホームな職場です」「風通しの良い社風です」といった表現は、書いた側には実感があっても、読む側にとっては他の求人票との区別がつきにくくなります。具体的な場面や事例がないと、抽象的な自己評価として読み流されてしまいます。

④ 応募者目線での不安点への言及がない

「未経験でも大丈夫か」「研修はあるか」「残業はどの程度か」など、応募を検討する人が気にするポイントに、書き手側は無意識のうちに触れずに済ませてしまうことがあります。自社にいる人にとっては「聞くまでもない」ことが、外部から見ると最も知りたい情報だったりします。

これらはいずれも、内容が間違っているわけではありません。「書いた人には十分だが、初めて読む人には足りない」というズレが原因です。


自分の求人票を読んでもらうときの依頼の仕方

上の①〜④を自分ひとりで確認しようとしても、結局「自分には分かる」状態のまま読んでしまい、抜けを見つけられないことがあります。第三者に読んでもらう際は、漠然と「見てください」と渡すのではなく、次のように具体的な質問形式で依頼すると、指摘が出やすくなります。

  • 「この求人票だけを読んで、どんな仕事をする会社か説明できますか?」
  • 「知らない言葉や、意味が分からなかった箇所はありましたか?」
  • 「この会社で働く自分を、具体的にイメージできましたか?」
  • 「読んでいて『これは書いていないのか』と気になった点はありますか?」

こうした質問をあらかじめ渡しておくと、読み手も「なんとなく良い求人票ですね」で終わらせず、具体的な引っかかりを言葉にしやすくなります。書いた本人が気づけない穴は、読み手に「何が分からなかったか」を具体的に語ってもらって初めて見えてくるものです。


「丸ごと外部委託」ではなく「添削だけ」という選択肢

採用活動そのものを外部に任せる「採用代行」というやり方もありますが、求人票の穴に気づくためだけであれば、そこまで大がかりな委託は必要ありません。

採用外部委託の前に知っておくこと——「丸投げ」と「パートナー活用」の違いで扱ったのは、媒体管理や応募対応まで含めた採用業務全体を外部と組む場合の考え方です。一方、求人票の第三者チェックは、「今ある求人票を、外部の目で一度読んでもらう」というごく軽いスポット活用にとどまります。

採用業務全体を任せる決断をしなくても、「この求人票、初めて読む人にも伝わりますか」という確認だけを外部に依頼することは可能です。自社の情報を渡して丸ごと任せるのではなく、すでに自分で書いたものを客観的にチェックしてもらう——負担も判断のハードルも小さい活用方法です。


まとめ

  • 経営者自身が書く求人票は、「言わなくても分かるだろう」という無意識の前提が入り込みやすい
  • 専門用語の説明不足・求める人物像の抽象化・「うちらしさ」の言い回し・応募者の不安点への言及不足は、書いた本人には気づきにくい穴
  • これらは内容が間違っているのではなく、「書き手には十分・読み手には不足」というズレが原因
  • 採用業務全体の外部委託とは異なり、求人票のチェックだけを軽く依頼するという選択肢もある

自分の求人票にどんな穴があるか、自分だけで判断するのは構造的に難しいものです。第三者の目で一度読んでもらいたいという場合は、お気軽にご相談ください


よくある質問

Q1. 求人票の第三者チェックは、採用代行を契約しないと頼めませんか?
求人票のチェックだけを単発で依頼することも可能です。採用業務全体の委託とは別に、スポットでの活用を検討してみてください。

Q2. 自分で見直す方法はありませんか?
社内の別部署の人や、採用に関わっていない社員に読んでもらうだけでも、専門用語の説明不足や情報の抜けに気づけることがあります。ただし、社内の人も自社の前提を共有しているため、完全な第三者ほどの効果は期待しにくい場合があります。

Q3. どのくらいの頻度でチェックしてもらうべきですか?
求人票を新規に作成したときのほか、求人票は3ヶ月に1回見直すべき理由で触れた定期見直しのタイミングに合わせてチェックを依頼すると、内容の鮮度と分かりやすさを同時に確認できます。

→ 関連記事: 求人票の「仕事内容」欄、こう書くと応募が変わる / 出しっぱなしはNG。求人票は3ヶ月に1回見直すべき理由 / 採用外部委託の前に知っておくこと——「丸投げ」と「パートナー活用」の違い

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