2026年9月18日
「35歳以下歓迎」はもう書けない。求人票の年齢条件、法律ではどこまでOKか
「若手歓迎」「30代までの方限定」——求人票にこう書いたことはありませんか。
悪気があってのことではなく、単に「若い人に来てほしい」という素直な希望を書いただけかもしれません。ですが求人票での年齢制限は、労働施策総合推進法(旧・雇用対策法)により原則禁止されています。一方で、同じ法律の中に「年齢を書いてもいい例外」もきちんと存在します。何が禁止で、何が例外なのか、線引きを整理します。
原則:求人票に年齢条件は書けない
労働施策総合推進法第9条は、努力義務ではなく法的義務として、事業主に労働者の募集・採用における年齢にかかわりない均等な機会の提供を求めています。ハローワークの求人票は、この規定に沿って運用されているため、年齢を理由にした表現は基本的に受理されません。
禁止対象になりやすい表現の例です。
- 「35歳以下の方」「30代までの方限定」のような上限年齢の指定
- 「若手歓迎」「フレッシュな方求む」のような、年齢を直接書かなくても年齢を暗示する表現
- 「40代以上の落ち着いた方」のような下限側の年齢指定も同様に対象
「若手」「フレッシュ」のような婉曲表現も、年齢を推測させる以上は同じ扱いです。この論点は知らないと危ない。求人・面接で経営者がやりがちな法律NG行為でも簡単に触れていますが、本記事では求人票の年齢表記という1点に絞り、書ける場合・書けない場合の境界をもう少し細かく見ていきます。
例外:年齢を書いてもいいケースが6つある
「原則禁止」だけを聞くと身も蓋もありませんが、労働施策総合推進法施行規則第1条の3には、例外的に年齢を限定して募集・採用できる事由が定められています。中小企業の採用実務でよく関係するのは主に次のようなケースです。
| 例外事由 | 内容の目安 |
|---|---|
| 定年年齢を上限とする場合 | → 「定年(60歳)を上限に、期間の定めのない契約で募集」など |
| 長期勤続によるキャリア形成を図る場合 | → 新卒・第二新卒など、若年層を期間の定めのない契約で募集し、長期的なキャリア形成を図る場合 |
| 技能・ノウハウの継承を図る場合 | → 特定職種で年齢層に著しい偏りがあり、技能継承のため特定の年齢層に限定する場合 |
| 法令の規定により年齢制限がある場合 | → 労働基準法の年少者保護規定など、他の法令が年齢制限を定めている場合 |
| 芸術・芸能分野で表現の真実性等が求められる場合 | → 役柄の年齢設定に沿ったキャスティングなど |
| 高年齢者等の雇用を促進する施策の対象者に限定する場合 | → 60歳以上の高年齢者など、雇用促進の対象となる年齢層に限定する場合 |
このうち中小企業が実務で使う機会が多いと考えられるのは「長期勤続によるキャリア形成」と「技能・ノウハウの継承」の2つです(芸術・芸能分野や高年齢者雇用促進の枠は、対象業種・対象者があらかじめ限定されるため)。「若手を育てて長く働いてもらいたい」「特定の技術を持つ人材の年齢層が偏っていて、若手に技術を継承したい」という事情があるなら、条件を満たせば年齢を限定した募集ができます。
例外を使うなら申込書上での明示が必要
ここが見落とされがちなポイントですが、例外事由に該当するだけでは不十分です。ハローワークへの求人申込みでは、施行規則第1条の3のどの例外事由に該当するかを申込書上で示す運用になっています。
さらに注意したいのが、65歳未満の上限年齢を設定して募集する場合です。この場合は高年齢者雇用安定法により、年齢制限の理由を求職者に書面等で明示することが事業主の義務とされています。「長期勤続によるキャリア形成のため、35歳以下の方を対象とします」のように理由をセットで示す必要があるのは、この高年齢者雇用安定法上の義務によるものです。
ハローワークの求人票では、この「例外事由に該当するか」「理由が明示されているか」を窓口で確認されることがあります。自己判断で書く前に、ハローワークや社会保険労務士に確認しておくと安全です。
NG表現とOK表現の書き換え例
年齢を書けないからといって、求める人物像を伝えられなくなるわけではありません。経験・スキルベースの表現に置き換えることで、実質的に近い層へ訴求できます。
| NG表現(年齢を直接・間接に指定) | 書き換え例(経験・スキルで表現) |
|---|---|
| 35歳以下の方 | → 未経験者歓迎/〇〇の実務経験を問わず活躍できる方 |
| 若手歓迎 | → 新しいことに意欲的に取り組める方 |
| 30代までの方限定 | → 〇〇職種での就業経験が3年未満の方 |
| 定年間際の方は不可 | → (原則、下限側の年齢排除は例外事由がなければ記載不可) |
「未経験者歓迎」は結果的に若い層からの応募が増える傾向がありますが、年齢そのものを条件にしていない点が重要です。表現を変えるだけで、法的リスクを避けながら近い狙いを実現できます。
まとめ
- 求人票での年齢制限は、労働施策総合推進法により原則禁止されている
- ただし施行規則で定められた6つの例外事由に該当すれば、年齢を限定した募集ができる
- 中小企業で使う機会が多いと考えられるのは「長期勤続によるキャリア形成」「技能・ノウハウの継承」の2つ
- 65歳未満の上限年齢を設定する場合は、高年齢者雇用安定法により理由の明示が事業主の義務となる
- 年齢を書けない場合は、経験・スキルベースの表現に置き換えることで近い狙いを実現できる
求人票に何気なく書いていた年齢条件が、実は例外事由に該当しないまま掲載されていた、というケースは珍しくありません。自社の求人票の年齢に関する記載に不安があれば、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q1. 「若手歓迎」だけならセーフですか?
年齢を直接書いていなくても、年齢を推測させる表現は同じ扱いです。原則として避け、経験・意欲などの表現に言い換えることをおすすめします。
Q2. 例外事由に該当すれば、理由を書かなくても大丈夫ですか?
該当するだけでは不十分です。ハローワーク求人申込書上でどの例外事由に該当するかを示す必要があります。加えて65歳未満の上限年齢を設定する場合は、高年齢者雇用安定法により理由の明示が事業主の義務となります。
Q3. ハローワーク以外の求人サイト・自社採用ページも対象ですか?
募集経路を問わず、労働施策総合推進法の年齢に関する規定は適用されます。
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