2026年5月23日

「高校生採用を始めてみる」——地方中小企業が地元高校生を採るための第一歩

「若い人が来てくれない」という悩みを持つ地方の中小企業に、見逃されがちな採用ルートがあります。地元高校の新卒採用です。

大学進学が当たり前になった時代でも、地方では地元への就職を希望する高校生が一定数います。高卒採用は、大卒採用や中途採用とは全く異なるルールで動いています。仕組みを知ることで、地域に根ざした採用の選択肢が広がることがあります。

高卒採用の基本的な仕組み

高校生の就職活動は、一般の転職市場とは異なる独自のルールに沿って進みます。

学校を通じた求人が中心

高卒採用では、ハローワークを通じて学校に求人票を提出し、学校側が生徒に求人を紹介するという流れが中心です。ハローワークに求人を出すだけでは、学校経由で高校生の手元に届かないことがあります。

スケジュールが決まっている

高卒採用は年間のスケジュールが大まかに定められています(地域・学校によって異なります)。

  • 6月頃:学校への求人票受付開始(ハローワーク経由)
  • 7〜8月:学校見学・会社説明会
  • 9月頃:就職応募・選考解禁

このスケジュールに合わせて動く必要があるため、「採りたいと思ったときすぐに動ける」中途採用とは異なります。来年の4月入社を狙うなら、当年の4月頃より前に準備を始めることが望ましいです。

1人1社制の慣行

高卒採用では「1人1社制」(一度に応募できるのは1社のみ)という慣行が一般的です(近年は緩和の動きもあります)。このため、学校側の推薦を受けた学生が面接を受けるケースが多く、採用内定率が中途採用に比べて高くなりやすい傾向があります。


高卒採用を始めるための3ステップ

① ハローワークに高卒求人を出す

まずはハローワークで「高卒求人」として求人票を出します。通常の求人票とは別に「高校新卒者用求人票」があります。ハローワークの担当窓口に「高卒採用をしたい」と伝えると、必要な書類と手順を説明してもらえます。

求人票には、仕事の内容・給与・勤務地・採用人数のほか、「学校見学の受け入れ可否」なども記載します。

② 地元高校の担当者に挨拶する

高卒採用で重要なのが、地元高校の就職担当教諭(進路担当)との関係です。学校側は生徒に求人を紹介する際に、信頼できる会社かどうかを考慮することがあります。

「どんな会社か」「どんな仕事か」を直接伝える機会として、担当者への挨拶・会社説明が有効です。そして訪問にはアポイント取得が必要です。飛び込み訪問では先生方にご挨拶することは難しいでしょう。

継続的に関係を築くことで、翌年以降も生徒を紹介してもらいやすくなります。

③ 学校見学・会社説明会を受け入れる

7〜8月頃に、高校生を対象とした会社見学・説明会を実施する会社が多いです。高校生は職場の雰囲気を直接見てから応募するかどうかを判断することが多いため、見学を積極的に受け入れると応募につながりやすくなります。

説明会では難しい話より、「1日の仕事の流れ」「先輩社員の話」「仕事のやりがい」など、高校生がイメージしやすい内容が効果的です。


高校生に伝わる求人の書き方

高校生は社会人経験がないため、職場や仕事の「リアル」を知りたがっています。大人の転職者向けの文体・表現では伝わりにくいことがあります。

平易な言葉で書く

「コミュニケーション能力」「PDCAサイクル」などのビジネス用語は避け、「お客さんとの会話が多い仕事」「計画を立てて振り返る習慣がつく」のように言い換えると伝わりやすくなります。

「先輩がいること」を伝える

高校生が就職に不安を感じる理由の一つに「職場で孤立するのでは」という心配があります。「入社後は先輩がそばで教えてくれます」「同期がいます」など、一人ではないことを伝えるとよいです。

地域のつながりをアピールする

地方就職を選ぶ高校生は「地元で働きたい」「家族や友人の近くにいたい」という気持ちが強いことが多いです。「地域に根ざした仕事」「地元に貢献できる仕事」という切り口は、U・Jターンを考える大人向けの求人と同様に効果的なことが多いです。

Uターン採用の訴求についてはこちらの記事も参考にしてください。


高校生採用の注意点

採用後のフォローが定着を左右する

高校生は初めての職場経験となるため、入社直後のサポートが非常に重要です。「何をすればよいかわからない」「気軽に聞ける人がいない」という状況が続くと、早期退職につながりやすくなります。

入社後3ヶ月間は特に丁寧に関わることが、定着率の向上につながりやすいです。定着について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

労働条件の法令確認

18歳未満の労働者には、労働基準法上の特別な規定があります(深夜労働の制限・時間外労働の上限など)。採用前にハローワークや社会保険労務士に確認しておくことを推奨します。


まとめ

高卒採用は、地方の中小企業にとって若手人材を確保しやすいルートの一つです。

  • 6月頃に求人票を出す:スケジュールに合わせた早めの動きが必要
  • 地元高校の担当者と関係を作る:継続的な信頼関係が採用につながる
  • 平易な言葉で職場のリアルを伝える:高校生に伝わる求人票を作る

「高卒採用は難しそう」と思わずに、まずはハローワークに相談してみることが第一歩です。

採用の選択肢について気になる方は、お気軽にご相談ください


よくある質問

Q1. 高卒採用はいつ頃から準備を始めればいいですか? 来年4月入社を目指すなら、6月頃には求人票の準備を始めることが望ましいです。スケジュールは地域・学校によって異なるため、最寄りのハローワークに確認しておくとよいです。

Q2. 高卒採用は大卒採用と比べてどんな違いがありますか? 高卒採用はハローワーク・学校経由のルートが中心で、転職サイトへの掲載だけでは届きにくいです。また「1人1社制」の慣行があるため、一度応募した学生は他社と並行検討しにくい状況です。選考の流れがシンプルで、採用内定後の辞退が起きにくい傾向があります。

Q3. 地元に高校がない・少ない場合はどうすれば良いですか? 隣接する市町村の学校にも求人票を出すことができます。また、全国から地元就職を希望する生徒を対象にした「地方就職フェア」への参加も選択肢の一つです。

Q4. 高校生を採用する場合、特別な資格や設備は必要ですか? 特別な資格は不要です。ただし、18歳未満の労働者を雇用する場合は労働基準法の規定を確認しておくことが必要です。不明点はハローワークや社会保険労務士に確認することを推奨します。

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