2026年9月12日

内定から入社日までの期間、長すぎても短すぎてもリスクがある

内定から入社日までの期間は、何となく候補者の希望に合わせて決めていませんか。

「早く来てほしいから最短で」「候補者の都合を優先して」——どちらの決め方も、一見合理的に見えて、実はリスクを抱えています。期間が長すぎれば候補者の気持ちが離れていくリスクが、短すぎれば候補者自身が現職とのトラブルを抱えたまま入社してくるリスクがあるからです。

内定後のフォローについてはこちらこちらの記事で扱いましたが、今回は「そもそも入社日をいつに設定するか」という、フォロー施策より一歩手前の意思決定に焦点を当てます。

なぜ入社日設定が軽視されがちか

入社日を決める場面で意識されるのは、多くの場合「自社がいつから来てほしいか」と「候補者が現職をいつ辞められるか」の2点だけです。この2つのすり合わせだけで期間が決まり、その期間の長さが持つリスクまでは検討されないことがあります。

しかし、内定から入社日までの期間そのものが、候補者の気持ちと入社後の立ち上がりの両方に影響します。期間設計は、フォローの頻度や内容を決める前段階として押さえておく価値があります。

期間が長すぎる場合のリスク

他社の選考・声かけに触れる時間が長くなる

内定から入社まで3ヶ月以上空くと、その間に候補者が他社の求人広告を目にしたり、知人から声をかけられたりする機会が増えます。転職活動を終えたつもりでいても、良い条件の話が来れば気持ちが揺らぐことはあります。

入社への実感が薄れていく

期間が長いほど、内定をもらった時点の熱量は薄れていきます。入社日が近づくまで会社との接点がないまま数ヶ月過ぎると、「本当にこの会社でよかったのか」と考え直す時間を与えてしまいます。この間のコミュニケーション設計については内定者フォローの頻度の記事で詳しく扱っています。

新卒・若手ほど影響が大きい

社会人経験が浅い候補者ほど、長い空白期間の不安に弱い傾向があります。空白期間そのものを短縮できない事情がある場合は、内定者バイトのように接点を維持する手段を検討する余地があります。

期間が短すぎる場合のリスク

現職の円満退職ができない

就業規則で1〜2ヶ月程度の予告期間を定めている会社は少なくありません。候補者の意向だけで入社日を早めてしまうと、現職への引き継ぎが不十分なまま退職することになり、候補者自身が現職とトラブルを抱えたまま入社してくることがあります。円満退職できなかった経験は、新しい職場への信頼にも影を落としかねません。

入社前の準備が間に合わない

雇用契約書・入社書類の準備、社会保険の手続き、業務に使う端末や備品の手配など、受け入れ側にも一定の準備期間が必要です。期間を詰めすぎると、これらが入社日に間に合わず、初日から候補者を待たせる結果になることがあります。

受け入れ体制が整わない

指導担当者のアサインや、初日〜初週の研修スケジュールの調整も、期間が短いと後手に回りがちです。受け入れ側の準備不足は、候補者から見て「本当に歓迎されているのか」という不安につながることがあります。

どのくらいの期間が適切か

一般的な目安として、以下のような期間感が参考になります。

候補者の状況 目安期間 理由
現職に在籍中(正社員) 1.5〜3ヶ月程度 就業規則上の退職予告期間+引き継ぎ期間を確保するため
現職を退職済み・離職中 2週間〜1ヶ月程度 退職手続きの制約がなく、長く空けるメリットが薄いため
新卒・卒業予定者 卒業式・入社式の慣例に準じる 学業・卒業要件との兼ね合いがあるため

あくまで目安であり、候補者一人ひとりの現職の状況によって調整が必要です。「候補者の希望通り」でも「自社の都合優先」でもなく、両者の制約を踏まえたうえで期間を決めることが、結果的にどちらのリスクも下げることにつながります。

まとめ

  • 入社日までの期間は、候補者の希望と自社の都合だけで決めると、長すぎる・短すぎるどちらかのリスクを見落としやすい
  • 期間が長すぎると他社流出や気持ちの離反のリスクが、短すぎると現職とのトラブルや受け入れ準備不足のリスクが高まる
  • 現職に在籍中なら1.5〜3ヶ月程度を目安に、候補者の状況に応じて個別に調整する
  • 期間そのものを適切に設計したうえで、フォローの頻度・内容を組み立てるのが望ましい順番

入社日の設定に迷うことがあれば、お気軽にご相談ください


よくある質問

Q1. 候補者から「今すぐ辞めて来たい」と言われたら、それに応じてもいいですか?
候補者の意欲は歓迎すべきですが、現職への引き継ぎが不十分なまま退職すると、後々トラブルに発展することがあります。就業規則上の予告期間を確認したうえで、無理のない範囲で調整することをおすすめします。

Q2. 期間が長くなる場合、フォローさえしっかりやれば問題ないですか?
フォローは有効な対策ですが、期間そのものが長いことによるリスクをゼロにはできません。可能であれば期間自体を見直したうえで、フォロー体制を組み合わせるのが現実的です。

Q3. 新卒採用の場合も同じ考え方でいいですか?
新卒の場合は卒業式・入社式といった慣例があるため、一般的な目安がそのまま当てはまらないことがあります。学業への配慮を優先しつつ、内定から入社までの期間が長くなりがちな分、フォロー設計を厚めにする発想が有効です。

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